书名 战国小町苦劳谭
-------------------------------------------------------------------
作者: 夹竹桃
【资料图】
原作:http://ncode.syosetu.com/n8406bm/
翻译工具:ChatGPT
*机器输出的翻译结果UP未做任何修正,仅供试阅。标题章节号为原翻译版的顺延。*
-------------------------------------------------------------------
千五百七十八年 十月中旬(*原文网页序列号 - 207)
結論から言えば会席は大成功の裡(うち)に幕を閉じた。華美ではなく、かといって貧相とも言えないギリギリの装飾に謙信は勿論、家康もお気に召した様子だ。
总的来说,宴席在众人欢声笑语中圆满结束。装饰简约而不失典雅,足以让信玄和家康心满意足。
後でこっそりと耳打ちされたが、家康も華美な料理は好みではなかったようだ。謙信は刺身と酒の組み合わせが甚(いた)く気に入ったようで、どうすれば越後でも生魚を食べることが出来るのかと確認された程であった。
之后被悄悄耳语,但家康似乎也不喜欢华丽的料理。 谦信非常喜欢生鱼片和酒的组合,以至于他确认了如何在越后吃生鱼片。
それなりの成果を出して気を良くした静子だったが、次に迎えるのは御馬揃えだと気を引き締めた。ところがこちらは開催前からケチがつくことになる。
静子表现出了不错的成果,心情也变得愉快起来。但她接下来必须面对的是“御马披队”的考验,这让她不得不紧绷神经。然而,即便是在活动开展前,也会有小气之人挑刺。
一部の公家達が十月に開催されることに対して文句をつけ始めたのだ。
一些官员开始对计划在十月举行的活动提出了抱怨。
やれ占いで良くない結果が出た、神無月(かんなづき)(十月)は神仏が不在であるから相応しくない等、開催を遅らせたい理由をこじつけてきた。
做占卜后得到了不好的结果,十月被认为是神佛不在而不适合举办活动,为了找借口而推迟了活动。
今までは裏でこそこそと暗躍していたようだが、効果が無いとみて正面から文句をつける方針を取ったようだ。
似乎先前一直在背地里搞乱动作,但现在似乎认为这样没有效果,改为正面指责了。
信長であれば文句など相手にしないと静子は考えたのだが、意外にも信長は公家達に対して開催の良き日を訊ねるという譲歩を見せた。
信长觉得不必理会任何抱怨,但出乎意料的是,他向公卿们询问了举行庆典的良辰吉日,显示出了妥协的态度。
最初こそ驚いた静子だったが、実に楽し気な笑みを浮かべている信長を見て彼の策略に気が付いた。
起初静子很吃惊,但看到信长脸上带着开心的笑容,她意识到了他的计策。
「次に何か不満が出れば、その責任を彼らに被せる気なんだ……」
"如果出现任何不满,我会把责任归咎于他们......"
文句を言い出した連中にとって都合の良い日に開催を告知し、更に遅らせるように言ってくるならば日時を指定した者に責任を被せるつもりだろう。
如果那些发牢骚的人找到一个适合他们的日子宣布活动,并建议将其推迟,那么有意指定日期的人将被追究责任。
こうなるとケチをつけていた者たちが、予定日通りに開催できるよう尽力しなくてはならない。
到了这一步,那些原先吹毛求疵的人们必须尽全力确保按照预定日期举办。
一見相手に譲歩したように見せて、その実己の望むところを通す手腕は流石信長だと感心する。自分ならば彼らの意見を一顧だにせず、むしろ付け入る隙を与えた可能性すらあった。
一开始看起来好像让步给了对方,但在实际操作中坚持自己的想法,这种手腕真不愧是信长。如果是我,很可能会完全不理对方的意见,甚至给对方留下可趁之机。
御馬揃えの開催予定日が再び未定になったが、開催されることは変わらないため準備を怠らないようにしていた静子の許に嬉しい知らせが届いた。
静子收到了令人高兴的消息,尽管御马队列的安排日期再次未确定,但仍将如期举行,她一直在努力准备。
遠地に赴いていた才蔵と足満両名の帰還であった。
前往远方的才藏和足满两人回归了。
才蔵は北条征伐に参陣していたのだが、足満が何をしていたかと言うと佐渡島にて金山開発に従事していた。
才蔵参加北条讨伐,而足满则在佐渡岛从事金山开发。
何故彼が佐渡島で金山開発をしていたかには理由があり、静子が足満と食事をしていた折りに金山の話題が出た。
他在佐渡岛开发金矿的原因是,在静子和足满共进晚餐时,谈起了金矿的话题。
そこで静子は金の延べ棒がどんなものか実際に見てみたいと言ったのが切っ掛けだった。普通ならば他愛無い憧れだと流してしまうのだが、そこは足満の真骨頂。
于是静子表示她想要实际看看金条是什么样子,这就是切入点。虽然这通常只是一个无聊的憧憬,但这就是足满的真正魅力所在。
静子が求めるのならば他人の命は勿論、自分の命を削ってでも願いを叶えんと動き出す。
如果静子所寻求的愿望需要削减他人的生命,或是付出自己的生命来实现,他/她都会动身去完成这个愿望。
ある程度の手勢を率いて佐渡島に渡ると、織田家から派遣されている代官を説得(・・)し、即座に相川(あいかわ)金銀山(きんぎんざん)の採掘総責任者に就任する。
带领一支相当数量的手下前往佐渡岛后,说服了派往此处的织田家代官,并被立刻任命为相川金银山的采掘总负责人。
通常ならば鉱脈を捜して試掘を繰り返すのだが、足満は事前に静子より詳細な地図を入手しており、幾つか目星をつけていた場所を試掘するだけで鉱脈発見に至った。
通常情况下,需要寻找矿脉并进行多次勘探,但是足满提前从静子处获取了详细地图,并在一些已经有眉目的地点进行了试掘,从而成功发现矿脉。
兵器開発もしつつ、金銀山での採掘を監督するという多忙ぶりだったが、佐渡島と本土間で電信の目途がついたあたりから仕事が捗り始めた。
在监督金银矿山的挖掘之余,也在开发武器,虽然非常繁忙。但是,从佐渡岛和本土之间开始有了电报的联系,工作变得更为顺利。
従来の採掘作業は全て手掘りにて行われていたのだが、足満は効率優先でダイナマイトを投入して火薬採掘を実施。
传统的采矿作业一直在手工挖掘的基础上进行,但足满为了提高效率,引入了炸药进行火药采掘。
実用化されたばかりの車輪の付いた機関車のような形をした可搬式蒸気機関を佐渡島に持ち込んだ。蒸気機関を動力とした揚水機やベルトコンベヤ、換気用送風機などの機器を次々と導入し、かつての数十倍にも及ぶ効率を叩きだす。
将形状类似于刚刚实用化的带有车轮的机车的便携式蒸汽机带到佐渡岛。引进了以蒸汽机为动力的提水机、皮带输送机、通风用送风机等设备,并取得了曾经数十倍的效率。
勿論失敗が無かったわけではなく、実用化直後の蒸気機関は爆発事故を起こし死人までも出した。ベルトコンベヤを実現するにあたり、必要に駆られて合成皮革も開発した。編み物や織物の上に樹脂を厚く塗ったり、張り合わせたりして一枚の革状にして利用する。
当然,并非没有失败的情况,即使是在蒸汽机被实际应用之后,也发生过爆炸事故,造成了死亡。为了实现输送带,不得不开发合成皮革。将树脂厚厚地涂在编织物或织物上,并将其粘合成薄片状以利用。
こちらも急造であるため、強度が足りずに何度もベルトが断裂する事故が起きた。幸いにして揚水機は原油採取の為に改良が繰り返されており、大きな問題を起こさなかったが、送風機は作業員の指を切断する事故を起こした。
由于这也是匆忙制造,强度不够导致皮带多次断裂事故发生。幸运的是,提升泵已经被改进了多次以用于原油采集,没有出现大问题,但送风机发生了切断工人手指的事故。
子供が扇風機を前にすれば当然ながら触ってみたくなるのは自明であり、見たことも無い大きな機械を前にしたうっかり者が手を突っ込んだ挙句に指を飛ばすことになる。
孩子们一旦站在电风扇前面,自然会想试着摸一下。而那些在面对从未见过的大型机器时手痒的人,也很容易被自己的冲动所伤,最终可能导致手指被断裂。
数々の苦難が訪れるがそれでも諦めることなく採掘を続け、大量のズリと呼ばれる無価値の岩石の中から金鉱石を選鉱し、鉛中毒被害が出るのを承知で『灰吹き法』や『焼金』といった技術を伝授して金の純度を高めた。
虽然遭遇了许多困难和挑战,但他们仍然坚持不懈地采掘,从大量的无价值的岩石中挑选金矿石进行选矿,并传授“灰吹法”和“烧金”等技术,以提高金子的纯度,甚至知道会有铅中毒的危害也不放弃。
「これが佐渡金山の金と銀なんだ。流石に十キロのは重いね」
"这就是佐渡金山的金和银。十公斤的确挺重的。"
足満が直接佐渡金山から持ち帰ったのは、白っぽい母岩の中に僅かに金色の鉱物が見える自然金の鉱石と、その鉱石から作られた金とおまけで銀のインゴットであった。
足满直接从佐渡金矿带回了一些东西,其中包括能够看到白色母岩中微小金色矿物的天然金矿石,以及由该矿石制成的金锭,还有附赠的银锭。
通常は使いやすくするため1キログラムのインゴットを鋳造するのだが、足満は静子の驚く顔がみたくて特別に十キロのインゴットを作らせた。
通常为了使用方便,会铸造一公斤的锭坯,但足满为了看到静子惊讶的表情特别制作了十公斤的锭坯。
金の比重は19.32(水の比重は1.0)もあり、同じ体積の水と比較すると19倍もの重さがあることになる。この為、金のインゴットは見た目以上に重く、荷物を持たされた小姓たちは苦労していた。
金的比重为19.32(水的比重为1.0),与相同体积的水相比,其重量高达19倍。因此,金锭比外观更重,使负责搬运金锭的仆人们感到困难。
特別製の十キロインゴットは1本限りだったが、百グラム、五百グラム、千グラムと金銀三種類ずつを何本か用意したため、それらを収めた木箱は小姓数人掛かりで運ぶ必要があったほどだ。
特制的10公斤银锭虽然只有一块,但因为准备了数个100克、500克和1000克的金银锭各数块,所以木盒装满锭需要几个仆从一起抬运。
黄金の輝きは多くの人を魅了するのだが、不思議と静子は綺麗だなと思う程度で金の装飾品を身に着けようとは思わない。予想よりも静子の反応が鈍いことに足満は少し渋い顔になっていた。
黄金的闪耀吸引了许多人,但奇怪的是静子觉得金饰品很漂亮,但并不想戴上它。足满有点失望,因为静子的反应比预期的慢。
そのため早々に興味を失った足満は、小姓たちに木箱を預けると風呂へ向かってしまい、残された静子はそれぞれのインゴットを目録に記し、念のため厳重な封を施してから片付けるよう小姓に命じた。
因此,很快就失去了兴趣的足满将木箱交给了仆人,然后前往浴室。留下来的静子则记录下每个铸锭的目录,命令仆人在进行整理之前进行严格的封条处理。
「良い湯であった」
"好温泉"
久しぶりに温泉を堪能した足満が、静子の私室を訪れる。当初は荷物だけを先行して輸送し、足満本人は信長への報告を済ませた後に尾張へと戻る手はずであった。
足满久违地享受了温泉之后,来到静子的私人房间拜访。最初他只是先运送行李,自己则计划在完成对信长的报告后返回尾张。
しかし、真っ先に静子の驚く顔がみたいと考えた足満は、大荷物を抱えたままで安土へ報告に赴き、様々な無茶を通したツケとして詳細な報告を対面にてすることになる。
然而,足满认为他首先想看到的是静子惊讶的表情,因此他抱着大包小包前往安土报告,并决定当面详细报告各种冒险。
信長としては足満が去った後も継続して同様の採掘が出来るかが気がかりであったのだが、足満は必要なことは全て引き継いだの一言のみを残して早々に尾張へと向かってしまったのだ。
信长很担心即使在足满离开后也能否继续进行类似的开采,但足满只留下“已经接手了所有必要的事情”的一句话,便匆匆离开前往尾张了。
「本当にお疲れ様でした。金の延べ棒を見てみたいなんて軽はずみに口にしたことを後悔しないでもないけれど、夢を叶えてくれてありがとう」
"真的辛苦了。虽然我有些后悔轻率地说想见一下金条,但还是感谢你实现了我的梦想。"
静子がそう言って微笑んでくれるだけで、足満は今までの苦労が報われた気がする。
静子这样笑着说出来,足满感觉所有的辛劳都得到了报答。
「ああ、中々に骨が折れた」
"哦,相当费劲"
入浴によって血行が良くなった己の肩を手で解しながら、足満は朗らかな笑みを浮かべた。その表情を見た静子付きの小姓が驚愕の表情を浮かべる。
沐浴后,足満手解着因血液循环改善而放松的肩膀,脸上浮现出明朗愉悦的笑容。见到这个表情,跟随着静子的侍从惊讶地瞪大了眼睛。
静子邸に配されて年季の浅いその小姓は、咄嗟(とっさ)に「自分は置物」と心の中で繰り返し唱えて表情を引き締めた。
在靜子的宅邸中,那個年資尚淺的小廝,在緊急時刻下,心中默念著「我是置物」,神色變得凝重。
その様子に気付いた静子は何か驚くことがあったのだろうかと首を傾げたが、彼女からすれば別段変わったことなど無いため直ぐに興味をなくした。
察觉到那种情况的静子疑惑地歪了头,不知道她是否有所惊讶,但对她来说似乎并没有什么变化,因此她很快失去了兴趣。
「あれ以外にも静子に土産があるぞ」
“除了那个,还有一个土产给静子。”
そう言って足満は静子に小さな布包みを渡した。受け取った静子は何だろうと、中身を検める。
"这样说着,足满递给静子一个小布包。静子接过来检查里面的内容。"
手触りの良い布袋から出てきたのは、艶やかなあめ色をした簪(かんざし)であった。
从手感舒适的布袋中拿出来的是一根闪耀着鲜艳糖果色的发簪。
「玳瑁(タイマイ)細工の簪なんて珍しいね」
“玳瑁细工的簪子真是少见”
足満からの土産は鼈甲(べっこう)で作られたかんざしだ。
足满带来的土产品是用玳瑁制作的髻簪。
「隣国からの舶来品よ。商人の話では稀代の名人が作った逸品で、本国でも僅かに出回るのみの代物らしい」
“这是从邻国进口的货物。商人们说这是由一个稀有的名人制作的杰作,据说在本国只有极少量的商品。”
タイマイと呼ばれるウミガメの甲羅と爪、腹甲(ふっこう)を使用して製作された各種装飾品を玳瑁細工と言う。現代では鼈甲と言われるが、実は鼈とはスッポンのことを指す。
用被称为泰迈的海龟甲壳、爪和腹壳制作的各种装饰品称为玳瑁工艺。现代称之为鳖甲,但实际上指的是中国鲇鱼。
何故、タイマイではなくスッポンの言葉が当てられているかというと、江戸時代に奢侈(しゃし)禁止令が発布され素材の玳瑁が禁制品に指定された。
为什么使用的不是鲑鱼,而是田鸡的语言?原因在于,江户时代发布了奢侈品禁令,并将素材玳瑁列为禁制品。
それでもタイマイ細工を欲したとある藩主が、この細工はすっぽんの甲羅で作られた細工だと言い逃れしたのが由来だとする説がある。
然而,某个藩主仍然想拥有这个泰迈细工件,他为此编造了一个说辞:这个细工是用鳖壳制作的,据称这是传说的由来。
鼈甲の歴史は古く、加工技術は六世紀末ごろに中国で誕生した。日本でも飛鳥時代には伝来しており、玳瑁(たいまい)如意(にょい)や螺鈿(らでん)紫檀(したんの)五弦(ごげん)琵琶(びわ)、玳瑁螺鈿八角箱などが正倉院に収められている。
鳖甲的历史悠久,加工技术于公元六世纪末在中国诞生。在日本,鳖甲在飞鸟时代被传入,如玳瑁如意、螺钿紫檀五弦琵琶、玳瑁螺钿八角箱等被收藏于正仓院。
十七世紀になると長崎に中国やオランダからの貿易船から鼈甲の材料と加工技術が長崎に伝わり、国内でも生産が開始された。
十七世纪,随着来自中国和荷兰的贸易船把玳瑁的材料和加工技术带到长崎,国内开始了玳瑁的生产。
長崎から大坂、大坂から東京に伝わるとそれぞれの場所で盛んに製作され、それぞれの地名を取って長崎鼈甲、なにわ鼈甲、江戸鼈甲と呼ばれている。
从长崎到大阪,再从大阪到东京,这些地方都盛产玳瑁制品,并以各自的地名命名为“长崎玳瑁”、“难波玳瑁”和“江户玳瑁”。
「綺麗だね、ありがとう」
"很漂亮,谢谢你"
鼈甲の簪を見ながら静子は足満に礼を伝える。鼈甲は繊維に方向があるため滑りにくい。また人の体温によって着け心地が変化するため、その人に合わせて馴染むように変化していく特性がある。この特性こそが珍重される理由の一つであろう。
看着玳瑁簪子,静子向足満道谢。玳瑁纹路有方向,不易滑动。而且随着人的体温变化,佩戴起来会自然适应,这也是它被珍视的原因之一。
だがタイマイはインド洋や大西洋などの海洋に生息し、日本周辺の海域にはいない。それ故、日本では輸入に頼る他ない貴重品であった。
但泰迈鱼主要栖息在印度洋和大西洋等海洋中,不生活在日本附近的海域。因此,它们在日本只能依靠进口,是一种珍贵的商品。
「静子の喜ぶ顔が何よりの報酬だ」
“看到静子兴高采烈的笑容是最好的报酬”
「では報告を聞きましょう。気になったら都度質問するけど良い?」
那就听汇报吧,如果有疑问可以随时提问,可以吗?
「それで構わない。ではまずわしが佐渡島に向かったところから話そう」
“没关系。那么让我先从我前往佐渡岛的经历开始讲起吧。”
それから静子に聞かせるべきではない内容を除いて、足満は静子に佐渡島で起きた事を報告した。
除了不应该向静子透露的内容外,足满向静子报告了在佐渡岛发生的事情。
足満に同行して佐渡島に渡っていた部下たちは、静子邸に着いて以降の足満の変化に驚いていた。
随行足满去佐渡岛的部下们自抵达静子邸以来,惊叹于足满的转变。
(あの柔和な笑みを浮かべる人は誰なんだ?)
(那个露出柔和笑容的人是谁?)
彼らの知る足満は冷酷非情であり、歯向かう者や敵対する者には一切の容赦を示さない鬼かと見紛う人物であった。
他们所听说的足满是一个冷酷无情的人,对于反抗或敌对的人毫不留情,有些人认为他就像鬼一样可怕。
激怒している姿こそ見たことがないものの、機嫌を損ねれば底冷えするような声音に変わるから恐ろしい。
尽管从未看到她发怒的模样,但如果损害她的情绪,她的声音会变得冰冷刺骨,令人感到恐惧。
「決して理不尽なことを言わないし、無意味に殴られることもないから羨ましい」とは足満に仕えたことの無い者の戯言だというのが部下たちの共通認識だ。
“从未说过不公正的话,也从未毫无意义地被打,感到很羡慕。”这是没有服务于足满的人的胡言乱语,这是部下们共同的认识。
「ともかく尾張にいる間は、ご機嫌を気にしないで済みそうだ」
“总之,我在尾张呆的时候,似乎不需要担心他的心情。”
「足満様以外ならば取り入る機会だろうが、足満様は逆にご機嫌を損ねそうだ……」
「除了足满以外,其他人可能会有机会被收纳,但如果收纳足满,恐怕会激怒他……」
「うむ、足満様は尾張三位様が殊の外大事なご様子。我らのことなど路傍の石だろう、足満様の頭には我らの事など残っておるまい」
「是啊,足満大人似乎格外看重尾张三位大人的重要性。我们这样的人只是路边的石头,恐怕足満大人的脑海里已经没有我们的事了。」
「しかし、折角尾張に着いたのだ。我らとて息抜きをしても罰は当たるまい」
"但是,既然来到了尾张,我们可以放松一下,罚也不会太重。"
「一応申請してみよう。無理ならば諦めよう」
"先试着申请一下,不行就放弃吧。"
誰が足満に許可を求めに行くかでひと悶着ありながら、彼らは足満に尾張の視察許可を願い出た。案の定、足満は彼らの提案に乗り気ではなかった。
当谁去请求足满的许可时,他们请求尾鲸视察足满时发生了争执。可预见地,足满对他们的提议并不感兴趣。
それと言うのも足満に許可を願い出た者たちが、安土で信長に報告した際に信長の命で強引に付けられた者たちだったからだ。
这也是因为请求了足满的许可,但当他们在安土向信长报告时,是在信长的命令下被强迫接受的人们。
信長の推薦であることから素性の怪しい人物はおらず、まかり間違っても静子に害をなす人物はいないと思うのだが、彼らが問題を起こした際に問答無用で処分出来ないことに躊躇(ちゅうちょ)を覚えた。
鉴于这是信长的推荐,他们没有可疑的身份,我认为即使有人想对静子造成伤害,也不可能。但如果他们引发了问题,我还是有些犹豫无措,不敢毫不犹豫地处置他们。
「わしは織田の殿様からお前たちを尾張に連れて行けと言われただけだ。それ以外のことは与(あずか)り知らぬ」
“我只是听从织田大名的命令把你们带到尾张。其他事情我一无所知。” translates to Simplified Chinese as: “我只是听从织田大名的命令把你们带到尾张。其他事情我一无所知。”
尾張に連れてくるまでの命令は果たした以上、それ以降のことには関与するつもりが無かった。
完成了把他们带到尾张的任务后,我就没有意图参与之后的事情。
「ゆえに自由に振る舞うと良い。ただし、問題を起こせば命は無いものと心得よ」
因此最好自由行动。但是,要知道如果造成问题,生命就没有了。
足満から消極的な許可が下りたことに彼らは胸を撫でおろす。ただし少しでも問題を起こせば、脅しではなく本当に命を以て償わされると覚悟した。
他们对于来自足满的消极许可感到宽慰。然而,他们也意识到,即使出现一点问题,他们必须自认倒霉,付出真正的代价,而不是想一些威胁就算了。
それらのことから全員で相談し、酒は極力控えて礼儀正しく振る舞うことを誓いあうと尾張の街へと繰り出して行った。
大家商量后,发誓尽量限制饮酒,以礼貌的行为前往尾張市。
それから数日が経った頃、才蔵が尾張へと帰還した。彼の場合は将兵を率いての帰還であるため、帰還後も軍の編成を解散する等色々と後片付けに奔走する必要があった。
过了几天,才藏回到了尾张。由于他率领将士回归,因此在回归后还需要进行军队编组等各种后勤工作。
結局才蔵が静子と対面できたのは、彼が尾張に帰還してから一週間後となった。
最终才藏见到静子是在他返回尾張一周后。
「北条征伐でのご活躍、お見事でした」
「在北条征伐中表现出的卓越成就,十分精彩」。
「身に余るお言葉、勿体のうございまする」
"您过奖了" (Nín guòjiǎng le)
静子の言葉に才蔵は深々と頭を下げた。才蔵は北条征伐に参陣こそしたが、小田原攻めには参戦してない。しかし、そのことで彼を侮る者は一人もいないだろう。
才藏深深地低下了头,听静子的话。才藏参加了北条征伐,但没有参加小田原攻击。然而,没有人会因此而轻视他。
小田原攻めには参加していなくとも、彼は孤軍で里見氏と佐竹氏を相手に互角以上の戦いを繰り広げたのだから。
即使他没有参加小田原攻防战,他仍然孤军奋战,与里见氏和佐竹氏展开了不亚于对手的战斗。
此度の東国征伐に於いては利害が一致するため北条氏と里見氏は手を結んだが、里見氏は東国の雄たる北条を相手に互角の戦いをしてきた古豪であった。
在这次东国征伐中,由于利益一致,北条氏和里见氏联手,但里见氏是在东国的雄鸡北条对抗中一直以来都是古豪,并能与之互相匹敌的。
佐竹氏についても東国に於いては珍しい火縄銃部隊を組織するなどの卓見を持ち、鬼真壁(まかべ)こと真壁氏幹(うじもと)が仕えることでも有名だ。
在东国地区,佐竹氏拥有罕见的火绳枪部队等出色战术,并以其仆从鬼真壁(真壁氏幹)的服务而闻名。
その二者を相手に戦い、最後には勝利を得た才蔵を侮るなど己の不明を証明するに他ならない。
挑战那两个对手并最终获得胜利,轻视赢得胜利的才藏只能证明自己的愚昧。
「遅ればせながら東国(とうごく)管領(かんれい)ご就任めでとうございます」
「恭喜您就任东国管领,虽然有些迟到了。」
「ありがとうございます。東国については今後、徳川家や上杉家、伊達家協力の下、合同統治していくことになりました。いくさが終わったばかりですが、これからも忙しくなると思います。今はゆっくりと体を休めて下さい」
“非常感谢您。关于东国,今后将在德川家、上杉家、伊达家的协力下进行合并治理。战斗刚刚结束,但我认为将来会更加忙碌。请现在好好休息。”
「お気遣い感謝いたします。休息を終えた後は静子様に仇なす者を、この才蔵が一人残らず叩き伏せてみせましょうぞ」
“非常感谢您的关心。休息结束后,我会用我的能力打败所有伤害静子女士的人。”
「ふふっ、頼りにしていますね」
“呵呵,你真是个可靠的人呢”。
東国に於けるいくさは禁じられた。しかし、禁令が出されただけでいくさが完全に無くなるわけではない。条件が揃えば反乱を起こさんと企む者もいるだろう。
东国战争是被禁止的,但仅仅发布禁令并不能完全阻止战争的发生。如果条件得当,也许会有人策划起义。
その際に必要なのは言葉ではない。彼らに遵法(じゅんぽう)精神を思い出させる圧倒的な武力が求められる。
需要的不是只是空口说白话,而是需要强有力的武力来让他们铭记遵守法律的精神。
尾張に居れば静子が安全だと皆が口を揃えるのは、そもそも静子を守るために都市計画が策定されており、外敵及び内患に対しても常に目を光らせる仕組みが持たれているからだ。
「大家一致认为,如果在尾张居住,静子就安全了」这是因为针对保护静子,城市规划已经制定了应对外敌和内部纷争的安全机制。
これを拡大して東国に静子が移住しても安全を確保出来る体制を整えなければならないため、家臣たちは苦労することになるだろう。
这是因为为了保障静子在移居东国时的安全,我们必须建立起能够确保其安全的体制,因此家臣们将面临许多困难。
「そう言えば、才蔵さんは真壁殿をお連れになったとか?」
“顺便问一句,才藏先生带着真壁殿一起来了吗?”
「はっ! 奴とは再戦を誓った仲でありまして、奴の負った怪我の治療をするためにも尾張の医療を受けさせようと招きました。奴の行動には某が全責任を負いますゆえ、どうか滞在のご許可を頂きたく存じます」
“嘿!我与那个人发誓再战,并邀请他接受尾張医疗治疗他所受的伤。他的行为由某人全权负责,因此,恳请您允许他停留。”
「なるほど、そういった事情でしたか。殿方の友情に口を挟むような野暮は言いません。再戦が叶う日が来るよう、関係各所に遣いを出しましょう」
"原来是这样啊,那种情况我就不会多嘴干涉大人们的友情了。我们应该派遣使者到相关方面,等待再次战斗的机会来临。"
「過分なご配慮ありがたく承ります」
"过分的关照非常感谢"
才蔵は真壁を己に伍するライバルと認めたのだと静子は理解した。報告によれば腰部に重傷を負っており、一人で歩くにも難儀するとある。
静子理解,才藏承认真壁是他的竞争对手。据报道,他腰部受重伤,走路也很困难。
戦国時代の常識から逸脱した医療レベルを誇る尾張に於いても、レントゲンや全身麻酔は手配できないため腰部の骨折を外科手術で治療することは不可能だ。
即使在拥有逸脱于战国常识的医疗水平的尾张地区,由于无法安排X光或全身麻醉,因此无法通过外科手术治疗腰部骨折。
精々が妙な形で組織が癒着するのを防ぎ、自然治癒に任せることしか手の施しようが無い。
尽力防止组织出现不正当的关系,只能任其自然疗愈,无法采取其他措施。
それでも神仏の助力を請う加持祈祷よりは現実的な効果が望める分、尾張に連れてきたのは正解と言えるだろう。
然而与神佛祈祷请求援助相比,可以期望更现实的效果,把它带到尾张可以说是正确的选择。
そして才蔵は真壁が万全な状態で改めて挑み、煩わしい背景の無い純粋な勝負を経て雌雄を決したいと考えていた。
然后才藏认为真壁已做好了万全的准备,他想要在没有烦恼背景的纯粹对决中再次挑战真壁,以确定胜负。
「『勝敗は兵家の常』と言いますし、勝ち負けに拘らず、悔いのない再戦が叶うことを祈っています」
“‘胜负乃兵家常事’,不在乎胜负,希望有机会再战,并无遗憾。”
負けるよりは勝つ方が良いのだが、勝負というのは時の運が絡むもの。それよりも才蔵が後悔しないことが大事だと静子は考えた。
输赢之间当然是赢比较好,但是比赛涉及到运气。因此,静子认为比起运气,让才藏没有遗憾更加重要。
「はっ、承知しました」
“好的,我知道了。”
静子の心遣いを察した才蔵は、これまで以上に深々と頭を下げるのであった。
感受到静子的关怀,才藏深深地低下了头,比以往更加谦卑。
滞在の許可が出たということは、真壁を己の私邸に招いても良いという意味である。才蔵はすぐさま尾張の旅籠(はたご)に宿泊している真壁の許へ遣いを出し、彼を自分が普段利用していない私邸へと呼び寄せた。
得到逗留许可的意思是可以邀请真壁去自己的私人宅邸。才藏立即派遣人前往名古屋的旅馆,把真壁请到他平时不使用的私人宅邸。
「喜べ真壁! 我が主よりお主の滞在許可が出た。ここ尾張は他所と随分勝手が違うゆえ、当面は混乱するだろうがじきに慣れる」
"高兴吧,真壁!我主已同意你在这里逗留。由于这里的风俗习惯与其他地方很不同,所以刚开始可能会有些混乱,不过很快你就会习惯的。"
「某はここに来るまでも驚き続きで、すっかり開いた口が塞がらぬようになってしもうたわ」
“某在来到这里之前已经接连不断地感到惊讶,都已经惊呆了,嘴巴一直张着合不拢了。”
才蔵の言葉に氏幹は切なげなため息を吐いた。自分の脚で満足に歩けない彼にとって、ここまでの旅程は驚きの連続であった。
才藏的话让氏干不禁叹了口气。对于无法满足地步行走的他来说,这段旅程充满惊奇。
彼の知るどんな船舶よりも巨大な軍船に乗せられ尾張へと向かい、恐ろしく巨大な港へと入港して荷下ろしが始まる。
被载上一艘比他所了解的任何船只都巨大的军舰前往尾张,然后进入一个巨大而可怕的港口开始卸货。
怪我人だからと優先的に下船できた氏幹は、巨人の腕と見紛うような奇妙なからくり仕掛け以て、船から荷下ろしが行われる一部始終を呆然と眺めていた。
因为是受伤的人,所以能优先下船的氏幹,惊讶地凝视着从船上开始卸货的过程。他看到了一些奇怪的机关,差点以为那是巨人的手臂。
自分が乗ってきた船舶も実に奇妙なものだった。自分たちが知る安宅船よりも巨大だと言うのに、風が凪いだ海の上をするすると滑るように進むのだ。
自己乘坐的船也非常奇怪。虽然比我们所知道的安宅船更加巨大,但在平静的海面上,它却可以平稳地滑行。
勿論、風が出てくれば帆布を広げて風を受けて推進力としているようだが、それ以外の時はどうして進んでいるのか皆目見当が付かなかった。
当然,如果有风,就可以展开帆布,利用风力来推进船只前进。但在没有风的时候,船只的推进方式就不得而知了。
港に着いて以降も、実に民が活気に溢れているのが見て取れる。これほど国力に差があるとは思っておらず、自分たちが敗北した理由を遅ればせながら理解した。
到了港口以后,可以看到这个国家的人民非常有活力。我没有想到国力之间有这么大的差距,现在我终于理解了我们失败的原因。
「そうか、ならばまずは温泉に浸かりながら一杯やらぬか? 尾張の酒は実に旨いぞ! それに合う旨い肴と熱い風呂、これがあれば怪我などすぐに治ろうというものよ」
“这样啊,那么先泡个温泉,喝上一杯呢?尾张的酒可真是好喝啊!再加上美味的下酒菜和热乎乎的温泉,这样一来伤痛什么的立刻就会好转了。”
そう言うが早いか、才蔵は氏幹に肩を貸しながら静子邸の湯殿へと向かい、酒と肴の用意を頼む。互いに全裸になると湯船に浸かり、体に染み渡る熱に思わずため息が出た。
这时,才藏扶着氏幹的肩膀,朝着静子家的浴池走去,让他准备酒和小菜。在相互脱光衣服后,他们浸泡在热浴缸里,热气渐渐地蔓延到全身,让他们不自觉地叹息。
風呂でお酒を飲むとアルコールが速く回るため、供されるお酒は徳利一本のみと肴は野菜の漬物だけだ。
洗澡时喝酒会使酒精快速吸收。因此供应的酒只有一个德利壶,配菜只有腌制的蔬菜。
熱い湯に浸かりながら冷たい清酒が喉を通る感覚に、氏幹は得も言われぬ恍惚感を覚える。何を語るでもなく二人は盃を酌み交わし、存分に温まると湯から上がった。
当沉浸在热水中,感觉冷清酒流过喉咙的时候,氏干感受到一种难以言喻的陶醉感。两人相互倾斟酒杯,默不作声,尽情取暖,然后浸泡在水中,享受真正的放松。
浴衣に着替えた二人は才蔵馴染みの飲み屋へと繰り出し、座敷の一席に落ち着くと才蔵が不敵な笑みを浮かべる。
换成浴衣的两人走向才藏熟悉的酒吧,坐在一处榻榻米上,才藏露出一丝得意的笑容。
「ここから先は底なし沼よ。一度味わえば後戻りは出来ぬ……それでもやるか?」
「这里以后是无底泥潭。尝一口便再也无法回头……你还要去吗?」
尾張の生活にハマってしまえば他所の生活が不毛なものとなるということを遠回しに才蔵が警告した。それを氏幹は笑って返す。
才蔵间接警告说,一旦陷入尾张的生活,其他地方的生活就会变得荒芜。而氏幹则笑着回应。
「既に人生が変わる程の経験をしておるわ! 毒を食らわば皿までよ、何処までもついてゆこうぞ!」
「我已经有过能改变人生的经验了!吃了苦头就得忍受,不管走到哪里都要一路坚持下去!」
「その意気や由! ならば今宵は存分に呑んで食らおうぞ!」
「那种精神和动机!那就让我们今晚尽情地喝喝、吃吃吧!」
互いに盃を高く掲げると、二人は同時に盃を呷って飲みほした。風呂場で味わった冷酒と異なり、同じく冷たいのだがカッと喉を焼くほどに酒精が強い。
互相高举酒杯,两人同时举杯畅饮。与在浴室中品尝的冷酒不同的是,虽然同样冰冷,但它烈性强烈,足以灼烧喉咙。
それでいながら喉を通る際に鼻を抜ける香りは果実のように甘やかで馥郁(ふくいく)としていた。香りに遅れて旨みが舌に広がり、氏幹は思わず盃を凝視する。
然而,在喉咙中通过时,从鼻子里散发出来的香气却像水果一样甜美和浓郁。香气落后于味道,味道在舌头上散开,氏幹不自觉地盯着杯子看。
今までに味わったことのない酒に驚いたが決して嫌いではない。時間を置くほどに後を引く旨さに、氏幹は手酌で二杯目を注いだ。
之前尝过的从未有过的酒让氏幹惊讶,但他并不讨厌。随着时间的流逝,那种迷人的味道越来越强烈,氏幹倒了第二杯。
「慌てずとも酒は逃げぬ。それよりもこれを食え、肴と共に味わう酒はまた一興なのだ」
「不用着急,酒不会逃掉。与其如此,还不如吃这个,一边品尝美食,享受美酒的乐趣也是一种享受。」
「う、うむ……」
"嗯,嗯……"
才蔵に勧められるがままに氏幹は肴を口にする。今宵の肴は秋鮭と椎茸の山椒味噌焼きだった。椎茸は尾張の特産品であり、ここ以外では到底口に出来ない高級品だ。
随着才藏的推荐,氏幹品尝了美食。今晚的佳肴是秋鲑和香菇山椒酱烤制而成。香菇是尾张的特产,在其他地方无法品尝到这种高档美食。
塩気の強い秋鮭とこれでもかと旨みを含んだ椎茸が口の中で弾け、それを強い酒で流し込むと一息ついた。
盐味浓郁的秋鲑鱼和充满美味的香菇在口中爆炸,配上浓烈的酒,令人舒畅。
「旨い!」
"好吃!"
まさにそれ以外表現のしようが無かった。暫く二人は会話をするでもなく、互いに酒を酌み交わす。二人とも会話がない事に苦痛を感じなかった。むしろこの時間を心地よいとさえ感じている。
正是因为没有其他的表达方式,两人一时之间没有交谈,只是互相倒酒。两个人都没感到没有对话很难受,他们甚至觉得这是一段令人愉快的时间。
「わしは今まで武勇に優れておれば、いくさにも勝てると思い込んでおったが間違いだと悟った。国を、そこに暮らす民たちを富ませることこそが大事なのだな」
“我原以为凭借自己的勇武可以战胜战斗,但我现在认识到自己是错的。让这个国家和居住在这里的人们富裕起来才是最重要的。”
暫く沈黙を保っていた氏幹が唐突に口を開いた。程よく酔いが回った彼は、自分たちが敗北した理由を痛感していた。
暂时沉默的氏干突然开口了。他醉得恰到好处,深刻地意识到了他们失败的原因。
「そこに気付けるとは流石は真壁、これは再戦が楽しみというものだ」
“能够察觉到那里的真壁真不愧是真壁,因此再战将成为一种乐趣。”
「おう! わしも怪我をしているのが口惜しい」
“哦!我也很口痒的受了伤。”
「焦らずとも尾張で湯治を続ければ、それほど時を置かずに良くなろう」
「不需要着急,在尾张地区继续温泉疗养,不久就会好起来。」
「わしは家督を息子に譲った際に、このまま足が萎えてしまうのだと覚悟した。しかし、貴様に尾張での治療を打診され、それに応じて良かったと心底思っておるよ」
“当我将家督让给儿子时,已经做好了脚永久萎缩的准备。但是,你提出了在尾州治疗的建议,我真心觉得这是个好主意。”
「訓練の場に於いてすら、わしの槍を折った者はおらぬ。それを成した貴様が朽ちるのが惜しかったまでよ。あくまでもわしの都合ゆえ、かしこまらずとも良いわ!」
「即便在训练场上,也没有人能折断我的长枪。你达成了这一点,我感到很可惜你要消亡了。不过这仅仅是出于我的考虑,你不用太在意!」
才蔵のぶっきらぼうな言葉に氏幹はただ黙って笑みを返す。二人は盃を軽くぶつけると中身を一気に飲み干した。
才藏的冷淡话语让氏干只是沉默地回应着微笑。两人轻敲着酒杯,一饮而尽。
「貴様は細かいことに気をやらず、早く怪我を治せ」
“你不用在意小事,快点治疗伤口。”
「貴様につけられた傷なのだがな。まあ良い、再戦まで貴様をこき使ってやろう」
“这是你留下的伤痕。好吧,没关系,等到再次对决时我会更狠狠地虐待你。”
「安心しろ、小間使いは用意してやる」
“放心吧,我会给你安排一个小帮手的。”
互いに軽口を叩きながら彼らは酒と肴を腹の中におさめていく。程よく酔いが回って腹も満たされた頃、互いに疲労からか眠気を覚えて店を後にした。
彼们一边开着玩笑,一边享用着酒和小吃,直到喝得微醺、吃得饱足,相互因疲劳而感到困倦,最终离开了店铺。
酒気を帯びて熱くなった体に、夜の冷気が心地よい。秋の夜風を堪能しながらそぞろ歩く氏幹は、才蔵が最初に警告した底なし沼という尾張様式に、肩どころか頭まで浸りきっていることに気付いていなかった。
酒后身体发热,夜晚的寒风却令人感到舒适。氏幹漫步于秋夜之中,享受着夜风,却没有意识到自己已经深陷才藏最初警告的尾張风格的底无尽沼泽中,直到深入肩膀甚至头部。
标签: